悠々自適に音楽語り

バロック以前から現代まで。好きな作品や隠れた名曲を紹介します。

アムランのカンパネラ練習、本人の録音を聴いて。

アムランのカンパネラ、想像以上に難しい…

すぐに疲れてしまうので、練習時間が多く取れないという事が致命的です。

いくつか思う所を列挙してみます。

 

とりあえず練習9日時点での動画がこちら。詳しい話は動画説明文を参照。

まだ練習不足が目立ちます。

それで、本人の演奏を聴いてみる。

聴いたのは、カレイドスコープに収録されている物と、短調による練習曲集に収録されている音源の二つ。

 

いままではカレイドスコープは改訂前、練習曲集の録音が改訂後の楽譜を弾いているのだと思っていたのですが、そういうわけでは無いみたい。

私がそれに気付いたのは3ページ目の最初の部分。

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この楽譜は改訂版。

3小節目と5小節目の両手の跳躍の内声に動きがあります。というより上のメロディに伴って動いてます。

改訂版は動きが無く、跳躍が大きい。

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で、本人の録音(カレイドスコープ、練習曲集)を楽譜に起こすと以下のように。

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いくつか記号を省略しています。

ぱっと見て分かるように改訂版に近いのですが、改訂版と比べると3・5小節目の最後の音が3度低い。

おそらくは、リストのカンパネラ数曲のような簡易化するための改訂でなく、音楽的な響きを得るための改訂という事なのでしょう。

 

4ページ目の最後の段はおそらく改訂後と同一。

左手が、改訂前は乖離配置の3和音(短10度)で改訂後は長6度の重音です。

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以上の事から、本人の録音は「改訂前と改訂後を合わせた形で演奏している」と言えます。

 

最後の下降音型(vivalcissimo subito)はカレイドスコープが改訂前、練習曲集が改訂後だと思います。

直後の128分11連符のパッセージも同様。

改訂前はグリッサンド的なニュアンスがあり、改訂後は和声的な面が強くなってます。

 

 

私は一応カレイドスコープの音源に準拠して練習しています。

余裕があれば改訂前、改訂後、本人演奏版*2で4パターン練習したいとは思いますが、個人的にはカレイドスコープ版が一番好き。