悠々自適に音楽語り

バロック以前から現代まで。好きな作品や隠れた名曲を紹介します。

ブラームスの「51の練習曲集」を識る

Brahms: 51 Exercises, WoO.6 - ブラームス: 51の練習曲
51の練習曲集と銘打っておきながら実際は88曲あるこの曲集。
「51曲の~」というより、「51パターンの~」と理解した方が正確かもしれない。
ブラームスが自身の技巧を維持するため、そして弟子の練習のために書いた物を晩年にまとめて出版した作品。
ショパンやリストの練習曲のような、練習曲として音楽性を突き詰めた物ではありません。
むしろハノンに近く技巧に特化した内容で、しかし和音はブラームスの和音なので響きはとても魅力的。
単純な技巧のみを並べるウォームアップのような物や、彼自身の作品から部分的に抜き出したような物もあります。
そして難しい。というより無茶な指示が多い。
3,4の指を拘束するパッセージや、3,4,5の指で重音を弾かせるパッセージ、巨人のような手を要求するかのようなパッセージ。
中途半端に練習をしたらまず間違いなく手を壊します。
しかしそうあるからこそ、この練習曲を「正しく学び」「正しく身に付ける」ことが出来れば、間違いなく自身の技巧・メカニック…すなわちヴィルトゥオージティに貢献してくれます。
内容は88曲。パターンが51曲あります。
1aから1fの6曲、2aから2bの2曲…といったようにアルファベットを付け、まるで性格変奏をするかのように形を変えていきます。
つまり、この曲集全体で取り上げられている技巧はおよそ50種類。
1曲1曲が短めなので、練習しやすいのも魅力の一つです。
楽譜出版社について。
やはり一番信頼出来るのはヘンレ。…なのですが、あくまでも技巧的な練習曲という事もあるので、日本語解説がある物をお勧めしておきます。
私が主に使っているのはヘンレですが、全音からも出版されているのでそれで良いと思います。全音は安いし、なにより世界一頑丈です。

ちなみにCDも出ています。
買うなら、Idil Biretの録音がおすすめ。というか他の録音を知りません。

時間と個人的な事情が噛み合ったら、自分で録音して解説でもしたいなぁ…と思ってるんですけども。
試験なんかがありなかなか上手く行かないのが現実。